海外留学と一口に言っても、国によって学べることや生活などは様々ですし、語学留学、大学留学、大学院留学などの留学先や留学形態によって条件などは大きく違います。
僕自身は大学1、2年次はアメリカの大学(ウェストバージニア州Concord大学)に正規留学をし、大学3年次に日本の上智大学比較文化学部に編入し、卒業。
しばらく働いた後、アメリカのケンタッキー大学大学院にて2016年に修士号を取得していますので、実はアメリカの大学と大学院の両方を経験しています。
今回はアメリカの大学と大学院の違いを英語力、金銭面、専攻・専門性について、そしてアメリカ人の友達ができやすいか?の4つの側面からご紹介したいと思います。
1,英語力
通常、アメリカに留学する際には必要な英語力が大学レベルでTOEFL ibt 61点程度、大学院レベルで80点程度と言われています。
もちろん、ハーバード大学などの有名大学では、さらに高い点数をとる必要がありますが、有名大学でなくても上記の点数を満たせない場合、ほとんどの大学で入学ができない、もしくは入学が出来たとしても、ESLと呼ばれる語学研修プログラムを受講する事が義務付けられ、正規の授業の受講を制限されるケースが多いです。
つまり、上記のように、留学を開始する際の英語力としては、通常大学院の方が高い能力を求められます。
ただし留学開始後、実際に授業についていくためには、実は大学レベルの方が大変です。
何故なら、大学院では通常自分が専門としている分野のみを学習するのに対し、大学レベル、特に1、2年次は一般教養課程の様々な分野の授業をとる必要があるからです。
僕自身は、初めてアメリカの大学1年生として留学した際、初年度から美術史、音楽史、心理学、英語ライティングなどの様々な分野の文系科目をとる必要があったので、英語を理解する部分で非常に苦労しました。
逆に大学院で自分の専門分野でよく出てくる単語や表現などを一通り覚えてしまえば、教科書を読んだり、授業を理解したりする上ではそれほど困りません。
授業を理解していく上での英語力、という意味では、実は大学院の方がやや簡単である、というのが僕自身の考えです。
ただし、アメリカの多くの大学院生は授業で学ぶのと同時に、ティーチングアシスタントとして、学部生に対し、自分の専門分野の授業を教える、ということをします。
僕自身も、ティーチングアシスタント、または、プライマリーインストラクターとして、2年以上クラスを教えています。その際には、少なくとも学生さんたちが理解出来る授業をする英語力、さらには、学生からの質問に答えたり、不平不満を言いくるめるくらいの英会話力が必要となりますので、単純にTOEFLで80点をとっただけでは難しいかもしれません。
2,金銭面
金銭面においては、正直どちらも高いです。
アメリカの大学の平均授業料は公立大学で年間約250万円、私立大学で350万円と言われています。大学院ではそれよりもさらに高いケースが多いです。
しかしながら、実は金銭面においては大学院の方が恵まれているケースが多いです。
アメリカの大学レベルでは、アメリカ国外からの留学生が奨学金などを得るのは簡単ではなく、授業料全額免除となると、一部の例外的に優秀な学生やフルブライトなどの非常に倍率が高い奨学金プログラムに受かる必要があります。
僕を含めた普通レベルの大学生にとっては、せいぜい大学のカフェテリアや寮のアシスタントとしてバイトをして時給$10程度をお小遣いにあてることが出来る、というのが一般的です。
しかし、大学院レベルになると、ティーチングアシスタントやリサーチアシスタントとして生活できる程度の給料をもらいながら、授業料も全額免除となるケースが珍しくありません。修士レベルではここまで手厚い大学院は少ないですが、博士課程に進むことが前提であればかなりの数、こういったプログラムを見つけることができます。
こういったプログラムに関しては、なかなか一つのウェブサイトなどですべてのプログラムがまとめられていることはありません。さらに大学内でも学部によって条件などが違うケースが多いです。
そのため、興味のある専攻分野がある大学や、学部のウェブサイトを一つ一つあたり、分からない部分はメールなどで問い合わせてみるのが良いでしょう。
お金がなくてもどうしても留学をしたい、という方は、大学生時代にできるだけよい成績をおさめ、給料をもらいながら学べる大学院を狙うのがオススメです。
3,専攻・専門性について
専門性についてはもちろん大学院の方が大学より深く学ぶことができます。
理系の分野で大学院にいきたい場合など、土台となる数学などが理解できていないと苦戦を強いることになりますので、可能であれば留学前にオンラインの大学などで、専門分野の理解に必要なコースを受講しておくことをオススメします。
また、大学には大学の良さがあります。
アメリカの大学では通常、入学時に専攻分野を決める必要がなく、1、2年次に一般教養のクラスを幅広く取りながら、自分の専攻分野を見極めていくことができます。さらに、ダブルメジャー(double major)といって、全く違う2つの分野を専攻することも可能ですし。さらに専攻するほどではないけれど少し詳しく勉強してみたい、という場合には専攻分野(major)とは別に副専攻(minor)を学ぶこともできます。
ちなみに僕自身はアメリカの大学にいた1、2年時は数学を専攻し、音楽を副専攻としていました。上智大学に編入したため、結果として卒業した学位は比較文化学ですが。。。
日本の大学では基本的に受験時に学部を選ばなければいけませんが、まだ、専攻したい分野が分からない、という高校生の方は、アメリカの大学で伸び伸びと自分のやりたい分野を探すのもオススメです。
4,アメリカ人の友達ができやすいか?
せっかく留学したからには現地の友達を作りたいものです。
実は大学院は理系ではほとんどの生徒が中国やインドからの留学生、ということが起こります。アメリカに留学に来たのに、周りはほとんどアジア人なんです!
僕が在籍している大学院の統計学部でも半分以上が中国人で、アメリカ人は全体の10-20%です。
逆に大学学部レベルではほとんどがアメリカ人です。ですので、アメリカ人の友達を作る、という観点から考えると大学生のときに留学するのがベターかと思います。
まとめ
以上、英語力、金銭面、専門性、アメリカ人の友人の作りやすさの4点からアメリカの大学留学と大学院留学を比較してみました。
僕自身は、大学時代の2年間でアメリカの一般常識と幅広い分野を学ぶことができ、さらにアメリカ人の友人がたくさん出来ました。そして大学院では専門分野を学びながら、主に中国人の非常に優秀な友人兼同僚たちと切磋琢磨できています。
大学、大学院のどちらで留学するか(または両方?)はあなた自身の状況と目的によりますが、それを考える際にこの記事がお役に立てれば幸いです。